Radio K.A.O.S.』(レディオ・ケイオス)は、1987年に発表されたロジャー・ウォーターズのアルバム。前年の1986年にはアニメ映画『風が吹くとき』のサウンドトラックを手掛けているが、本作は1984年発表の『ヒッチハイクの賛否両論』に続くセカンド・ソロ・アルバムと位置づけられている。

概要

架空のラジオ局「Radio KAOS」を舞台としたコンセプト・アルバムで、前作と同様に難解なストーリーになっている。アルバムを通して聴いただけでは内容が理解できないため、ウォーターズによる“あらすじ”も書き添えられている。

主人公のビリーは身体障害者という設定である。ある日、世界中を漂うラジオ電波(Radio Waves)と交信するという超能力を得る。様々な電波と交信している中で、電波を通じて人々をコントロールしようと企てている権力者の存在に気づく。ビリーはこの動きを何とか阻止しようと、革新的な試みを行っているラジオ局「Radio KAOS」にコンタクトを取る。そして、DJのジムと共に世界に向けて平和のメッセージを投げかけていく。

既存のマスメディアを批判すると共に、「Radio KAOS」という独自の媒体を通して様々な社会的メッセージが込められたアルバムになっている。ピンク・フロイド在籍時のラスト・アルバム『ファイナル・カット』(1983年)に続いて、マーガレット・サッチャーやロナルド・レーガンが実名で非難されている。また、核兵器廃絶も中心テーマになっている。ラストの「流れが変わる時〜ライブ・エイドが終わって〜」では平和的で暖かなメッセージが歌われている。

アルバム・リリース後にはツアーも開催されたが、デヴィッド・ギルモア率いる新生ピンク・フロイドと日程が重なり、各地でバトルを展開する。しかし、アルバムの売上やツアーの観客動員ではフロイド側の圧勝に終わる。このときの経験から、ウォーターズはなかなかツアーに出る決意を持てず、次のツアーは1999年まで待つこととなる。

収録曲

  1. ラジオ・ウェイヴ - "Radio Waves"
  2. 誰がそんな情報を必要としてるんだい? - "Who Needs Information?"
  3. 彼か、もしくは私が… - "Me Or Him"
  4. 予知能力 - "The Power That Be"
  5. サンセット通りにて - "Sunset Strip"
  6. ホーム〜誰にでも国は存在する〜 - "Home"
  7. 4分間のシミュレーション・ゲーム - "Four Minutes"
  8. 流れが変わる時〜ライブ・エイドが終わって〜 - "The Tide Is Turning (After Live Aid)"

脚注


Roger Waters Radio K.A.O.S. (CD, Album) Discogs

Roger Waters Radio K.A.O.S. (1987, Banded, Vinyl) Discogs

Radio K.A.O.S. (1988) MUBI

Roger Waters Radio K.A.O.S (1987, Dolby, Chrome, Cassette) Discogs

KAOS I YouTube Music