チシオタケ(血潮茸、学名: Mycena haematopus)は、ハラタケ目クヌギタケ科(またはラッシタケ科)クヌギタケ属に分類される小型のキノコである。広葉樹林の朽ちた倒木などに生える。新鮮なうちにキノコを傷つけると、みるみるうちに血のような暗赤色の汁が湧き出るので、和名に由来となっている。食用には適さない。

特徴

木材腐朽菌(腐生性)。日本各地、ヨーロッパ、北アメリカなど、ほぼ世界中に分布する。夏から秋にかけて、広葉樹林内の広葉樹の朽倒木、枯木、切株に発生する。腐敗した倒木をよく探すと見つかることも多く、数本が束になって生える。

子実体は傘と柄からなり、傘は径1 - 3.5センチメートル (cm) の釣鐘形で、はじめ卵形または楕円形で、のちに鐘形から円錐形となる。表面はピンク色から帯褐赤色で、周縁部に放射状の条線があり、傘の縁には鋸歯状の白い飾り(フリンジ)がある。傘裏のヒダは、やや疎らで白色を帯び、のちに淡紫紅色になり、柄に直生または離生する。傘肉は薄い。

柄は傘表面と同色。中空で脆く、長さ4 - 12 cm、太さ2 - 3ミリメートル (mm) 。傘、柄ともに傷つくと、傷口から暗赤色の液が出る。細い繊維状の柄が密生するタケハリカビに侵されることがある。担子胞子は7.5 - 10 × 5 - 6.5マイクロメートル (μm) の広楕円形、平滑、アミロイド性。胞子紋は白色から淡いクリーム色。縁に存在する側シスチジアは39 - 65 × 9.5 - 13 μmの紡錘形で先が尖る。

近似するキノコ

同属のアクニオイタケ (Mycena stipata) に似ているが、アクニオイタケは針葉樹の腐朽菌で、春先の他のキノコがあまりない時期に発生し、柄の基部に白色菌糸が目立つのが見分けの特徴となる。

名前も似ているアカチシオタケ (Mycena crocata) は、柄がオレンジ色で、傷つけたときに出てくる液もオレンジ色である。

脚注

参考文献

  • 秋山弘之『知りたい会いたい 色と形ですぐわかる 身近なキノコ図鑑』家の光協会、2024年9月20日。ISBN 978-4-259-56812-2。 
  • 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄 編著『日本のきのこ』(増補改訂新版)山と渓谷社〈山渓カラー名鑑〉、2011年12月25日。ISBN 978-4-635-09044-5。 
  • 大作晃一『きのこの呼び名事典』世界文化社、2015年9月10日。ISBN 978-4-418-15413-5。 
  • 前川二太郎 編著『新分類 キノコ図鑑:スタンダード版』北隆館、2021年7月10日。ISBN 978-4-8326-0747-7。 

関連項目

  • ヘマトポジン
  • ヘマトポジンB

チシオタケ Mycena haematopus クヌギタケ科 Mycenaceae クヌギタケ属 三河の植物観察野草

チシオタケ

チシオタケ

チシオタケ 写真素材 [ 4033176 ] フォトライブラリー photolibrary

チシオタケ